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ファシストと芸術:ジュゼッペ・ボッターイによる近代芸術(モダン・アート)の庇護

たまには趣旨を変えて、ファシスト・イタリアの芸術政策について触れてみることとする。というのも、意外にこの手のツイートをしたら割と注目があったためだ。

 

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ジュゼッペ・ボッターイ(Giuseppe Bottai)

ファシスト・イタリアでは近代芸術(モダン・アート)は抑圧されるどころか、寧ろ大きく進展したという事実は実に面白い事実である。歴史家は未来派抽象絵画など、ヨーロッパ諸国のあらゆる芸術的方向性が共存したと評価された。逆にナチス・ドイツやソヴィエト・ロシアでは近代芸術は「退廃的」というレッテルを貼られて弾圧されていることからも、ファシスト・イタリアの特異性がわかるであろう。

 

このモダン・アートの庇護を積極的に尽力した人物がジュゼッペ・ボッターイ(Giuseppe Bottai)である。ボッターイはファシズムの理論家(イデオローグ)としても非常に優秀であり、理論的な評論で文化の威信と自律性を求めた活動を行ったことで有名である。彼は文化のみならず教育、経済といった様々な分野で活躍したが、ここでは文化政策、特にモダン・アートの庇護について焦点を当てる

 

1920年代後半以降、ボッターイはファシスト政権による文化統御の推進をし、イタリアの芸術家・批評家たちに「ファシズム芸術とは何か」をメディアに取り上げさせた

ボッターイは芸術家の保護のために、アッカデミーア・ディターリア(イタリア学士院, Accademia d'Italia)を創設した。この学士院会長には無線の開発で有名なグリエルモ・マルコーニ(Guglielmo Marconi)や、英雄的詩人ガブリエーレ・ダンヌンツィオ(Gabriele D'Annunzio)、哲学者ジョヴァンニ・ジェンティーレ(Giovanni Gentile)などがなった。また、ボッターイは共同体相として芸術家の組合参加義務化大学教員の入党義務化ピサ大学「国家共同体研究所」設立など、文化制度の再構築に尽力した。

 

また、「ローマ・クアドリエンナーレ」や「ミラノ・トリエンナーレ」といった展覧会を開始させ、ヴェネツィアビエンナーレ」にヴェネツィア国際映画祭を創設した。

ボッターイは芸術家たちを庇護し、庇護された芸術家たちは近代的な様式をもつ絵画や建築を数多く生み出していった

 

この時、政府公認の絵画運動「ノヴェチェント」と呼ばれるものがあり、女性画家マルゲリータ・サルファッティ(Margherita Sarfatti)が率いた。これにはファシズムによる政治革命の到来と革新的な芸術運動の開始という願いが込められ、エンリコ・トーヴェツ(Enrico Thovez)やウーゴ・オイエッティ(Ugo Ojetti)なども参加した。

 

しかし、このボッターイの庇護もイタリアがドイツに接近することによって、力を増す反ボッターイ派のファシストによって押しつぶされることになる。これにより、ファシスト政権は芸術家たちの支持を得られなくなっていった

 

次回はボッターイとは対照的にプロパガンダ芸術を推奨したディーノ・アルフィエーリとロベルト・ファリナッチの政策について書いてみます。

 

参考文献

鯖江秀樹著『イタリア・ファシズムの芸術政治』水声社・2011

マーク・マゾワー著・中田瑞穂/網谷龍介訳『暗黒の大陸 ―ヨーロッパの20世紀―』未来社・2015

北原敦編『イタリア史』山川出版社・2008

マクス・ガロ著・木村裕主訳『ムッソリーニの時代』文藝春秋・1987